ACID プロジェクト内の各トラックには、複数の別個のメディア ファイルを含めることができます。これらのメディア ファイルのことをクリップといいます。[トラック プロパティ]ウィンドウの[クリップ プール]タブを使用して、クリップを追加、削除、プレビューできます。

クリップとトラック使い方について詳しくは、クリップとトラックの使い方を参照してください。

[全般]タブには、トラックに関連付けられているファイルに関する情報が表示されます。また、このタブでは、ACID の種類を変更したり、同じクリップを使用したトラック上のすべてのイベントにピッチ シフトを適用したり、ビートマップ クリップのタイム ストレッチを調整したりできます。

ACID の種類の変更

[ACID の種類]ドロップダウン リストから設定を選択すると、ACID プロジェクトにおけるクリップ メディアの処理方法を変更できます。

ACID の種類

説明

ループ

[ループ]を選択すると、クリップはプロジェクト キーに移調され、プロジェクトのテンポに合わせてストレッチされます。

ループは、トラック全体にわたってドローでき、最初から最後まで繰り返されます。

ワンショット

[ワンショット]を選択すると、クリップは RAM に格納されずにハード ディスクからストリーミングされます。また、他のループに合わせてテンポが変更されることもなく、プロジェクト キーに移調されることもありません。

[ワンショット]を選択すると、[ストレッチ]タブは使用できなくなります。

ビートマップ

30 秒を超えるファイルをプロジェクトに追加した場合は、Beatmapper ウィザードが開始され、ファイルにテンポ情報を追加することができます。

極めて短いメディア ファイルの場合は、[ビートマップ]を選択することはできません。ビートマップ ファイルには、少なくとも 300 BPM で 1 小節の長さが必要です。

Acid Pro tip クリップ プロパティ(オーディオ)ファイルの長さを決定するには、[ユーザー設定]ダイアログ ボックスの[オーディオ]タブにある[次の範囲内のときにファイルをループとして開く(秒)]設定を使用します。

ピッチ シフトの調整

同じクリップを使用したトラック上のすべてのイベントのピッチを調整するには、[ピッチ シフト]ボックスに値を入力します(またはスピナー コントロールを使用します)。

Acid Pro  クリップ プロパティ(オーディオ)トラックのピッチ シフトは、[保存]ボタン Acid Pro b save クリップ プロパティ(オーディオ) をクリックしてもメディア ファイルには保存されません。

タイム ストレッチの調整(ビートマップ トラックのみ)

ACID では、ビートマップ トラックのタイムストレッチ方法として、クラシックと élastique の 2 種類が用意されています。クラシックは、ACID によって使用される標準のタイムストレッチ方法です。

  1. プロジェクトのテンポが変わったときにトラックのピッチを維持するには、[ストレッチ時にピッチを保存]チェック ボックスをオンにします。

    このチェック ボックスをオフにすると、テンポの変化に合わせてクリップのピッチが上下します。チェック ボックスをオフにした場合、ビートマップ イベントのピッチは変更できません。

  1. 使用するタイムストレッチ方法を指定するには、[方法]ドロップダウン リストから設定を選択します。

方法

説明

クラシック

クラシックは、ACID によって使用される標準のタイムストレッチ方法です。

élastique

élastique は、zplane.development の技術を使用しており、高度なリアルタイムのタイムストレッチ機能とピッチシフト機能が提供されます。また、サウンドの特徴的なレゾナンス周波数であるトラックのフォルマントを維持したり変化させたりすることもできます。

  1. 使用するメディアに最適なストレッチ方法を選択するには、[モード]ドロップダウン リストから設定を選択します。

Acid Pro tip クリップ プロパティ(オーディオ)[élas
tique Pro]
モードでは、最も高品質のストレッチが提供されますが、より多くの RAM と CPU パワーを必要とします。[élastique エフィシェント]モードでは、リソースの消費を抑えながら、高品質の和音オーディオのタイムストレッチを行えます。[ソロ(モノラル)]および[ソロ(スピーチ)]では、システム リソースにほとんど影響を与えずに標準品質のモノラル オーディオを提供します。

  1. プロジェクトのテンポが変わったときにトラックの特徴的なレゾナンスを維持するには、[ストレッチ時にフォルマントを保存]チェック ボックスをオンにします。フォルマントの保存は、ボーカル パフォーマンスにおいて不自然な高音を回避する場合によく使用されます。

    このオプションは、[élastique Pro]モードおよび[ソロ(モノラル)]モードでのみ使用できます。

  2. 同じクリップを使用したトラック上のすべてのイベントのフォルマントを調整するには、[フォルマント シフト(半音)]ボックスに値を入力します(またはスピナー コントロールを使用します)。

    フォルマント シフトは、ピッチを変えずにボーカル パフォーマンスのトーンを深める場合に使用できます。

    [élastique Pro]モードでは、ピッチ シフトの補間に必要なオフセットに加え、この値で半音の度数を示すことで音色を変化させます。例えば、0.000 をフォルマント補正に適用するとシフトは追加されませんが、-7.000 をフォルマント補正に適用すると 7 半音深くなります。

    このオプションは、[ストレッチ時にフォルマントを保存]チェック ボックスがオンになっている場合にのみ使用できます。

[ストレッチ]タブでは、ループまたはビートマップ トラックのピッチ シフトとタイム ストレッチの処理方法を指定できます。

Acid Pro tip クリップ プロパティ(オーディオ)[ビートの再検出]ボタンをクリックして、ACID のビート検出アルゴリズムを既存のメディアに適用します。

[ストレッチ]タブは、[グルーブ エディタ]ウィンドウに似ています。両ウィンドウにはそれぞれビート アンカー Acid Pro beatmarker クリップ プロパティ(オーディオ) とビート マーカーが含まれますが、これらのウィンドウのマーカーは互いに補完的な機能を備えています。

  • [クリップ プロパティ]ウィンドウの[ストレッチ]タブでは、ビート マーカー Acid Pro beatmark2 クリップ プロパティ(オーディオ) はメディア内のビートを表し、ビート アンカー Acid Pro beatmarker クリップ プロパティ(オーディオ) は新しいグルーブを適用する前にメディアを直線的な時間軸にクオンタイズするのに必要な調整を表します。

  • [グルーブ エディタ]ウィンドウでは、ビート アンカー Acid Pro beatmarker クリップ プロパティ(オーディオ) は調整対象のビートを表し、グルーブ マーカー Acid Pro beatmarkergrooveeditor クリップ プロパティ(オーディオ) はグルーブを適用した場合にビートが再生される位置を表します。グルーブ マーカーは、ビート アンカーの前後に配置できます。グルーブ マーカーとビート アンカーは、対応関係がわかるように線で結ばれます。

ビート アンカーとマーカーを編集した結果を試聴するには、[クリップ プロパティ]ウィンドウの下部にある [クオンタイズされた再生]ボタン Acid Pro b quantize playback クリップ プロパティ(オーディオ) を選択し、[クリップ プロパティ]ウィンドウのトランスポート コントロールを使用してループを再生します。[クオンタイズされた再生]モードでクリップを再生すると、ストレートにクオンタイズされたグルーブが適用されたとき、トラックがどのように聞こえるかを確認できます。[再生]ボタン Acid Pro b play クリップ プロパティ(オーディオ) をクリックすると、元のループを聞くことができます。

クリップのプロパティの編集が完了したら、[保存]ボタン Acid Pro b save クリップ プロパティ(オーディオ) をクリックして ACID 情報をファイルに埋め込みます。

Acid Pro tip クリップ プロパティ(オーディオ)変更内容を新しいファイルに保存するには、[Ctrl]キーを押しながら[保存]ボタン Acid Pro b save クリップ プロパティ(オーディオ) をクリックします。

Acid Pro  クリップ プロパティ(オーディオ)ストレッチのプロパティを新しいファイルに保存した場合、変更内容は現在のクリップにも適用され、ACID プロジェクトとともに保存されます。変更内容は元のファイルには保存されません。

別のオーディオ編集プログラムでファイルを編集すると、ACID のデータが失われることがあります。その場合は、[ストレッチ]タブで設定を編集して、もう一度ファイルを最適化してください。

アイテム

説明

ルート音

ドロップダウン リストから音を選択して、プロジェクト キーに一致させるループのルート音を設定します。

クリップをプロジェクト キーに移調しない場合(例えば、ドラム サンプルを含んでいるクリップ)は、[移調しない]を選択します。

拍数

ドロップダウン リストから設定を選択して、元のファイルの長さを指定します。

実際のファイルに一致しない値を選択すると、標準とは異なる速度でループが再生されます。例えば、4 ビートのループに 8 ビートの長さを指定すると、指定したあらゆるテンポでループが半分の速度で再生されます。

ストレッチ方法

ストレッチ プロパティは、オーディオ イベントで時間を圧縮/伸張する方法を決定します。時間の圧縮によってオーディオが変に聞こえる場合は、トラックのストレッチ プロパティを編集してみてください。

[ループ セグメント]はデフォルトのストレッチ方法です。ほとんどの種類の素材に適合します。トラック メディアは断片へと分割されクロスフェードされます。また必要な長さに応じて断片ごとにループされます。

ビート/ストレッチ マーカーの組み合わせ Acid Pro dualstretchmark クリップ プロパティ(オーディオ) およびストレッチのみのマーカー Acid Pro manualstretchmark クリップ プロパティ(オーディオ) は、クリップ メディア内の分割箇所を表します。

シンセサイザ パッドやヘルド ノートなど持続音の場合は、[ループなしセグメント]を選択します。クリップ メディアは断片へと分割されクロスフェードされます。ただし、どの断片もループされません。

ビート/ストレッチ マーカーの組み合わせ Acid Pro dualstretchmark クリップ プロパティ(オーディオ) およびストレッチのみのマーカー Acid Pro manualstretchmark クリップ プロパティ(オーディオ) は、クリップ メディア内の分割箇所を表します。

テンポの変化に合わせてクリップのピッチをシフトする場合は、[ピッチ シフト セグメント]を選択します。このオプションを使用すると、テンポが急激に変わったときに発生する一部の問題を除去したり、既存のループから新しいサウンドを作り出すことができます。

例えば、プロジェクト テンポを遅くしたときにエコー ノイズが聞こえる場合は、[ピッチ シフト セグメント]設定を使用すると、これらのノイズを除去できます。

ビート/ストレッチ マーカーの組み合わせ Acid Pro dualstretchmark クリップ プロパティ(オーディオ) およびストレッチのみのマーカー Acid Pro manualstretchmark クリップ プロパティ(オーディオ) は、クリップ メディア内の分割箇所を表します。

ノートの間に無音があるドラム ループのような素材の場合は、[スライス セグメント]を選択します。分割した断片をクロスフェードする代わりに、各ビート間に無音を追加します。これによって震えた音になったり、その他の劣化が発生するのを避けることができます。

ストレッチ方法に[スライス セグメント]を設定した場合、ビート マーカー Acid Pro beatmark2 クリップ プロパティ(オーディオ) はストレッチを適用するために無音が挿入されるクリップ メディア内の分割箇所を表します。ストレッチのみのマーカー Acid Pro manualstretchmark クリップ プロパティ(オーディオ) はこのモードでは使用できないため、淡色表示 Acid Pro disabledstretchmark クリップ プロパティ(オーディオ) になっています。

経過音の感度

ボックスに値を入力するか、スピン コントロールを使用して、ビート検出の感度を調整します。コントロールを 100 に設定した場合は、経過音が発生するたびに、ビート マーカー Acid Pro beatmark2 クリップ プロパティ(オーディオ)、ストレッチ マーカー Acid Pro manualstretchmark クリップ プロパティ(オーディオ) または Acid Pro dualstretchmark クリップ プロパティ(オーディオ)、およびビート アンカー Acid Pro beatmarker クリップ プロパティ(オーディオ) が作成されます。

設定値を小さくすると、強い経過音に対してのみマーカーが作成されます。

複雑なリズムを刻むオーディオで作業している場合は、設定値を大きくした方が便利です。シンセサイザ パッドなど基本的な素材の場合は、設定値を小さくします。

クリップ プロパティ(オーディオ)